今回は、会社員時代の経験を基に、訪問看護業界での営業戦略についての実体験を、特に訪問看護サービスの営業チラシ作成や集客戦略に焦点を当ててお話したいと思います。激戦区での集客成功体験私が担当となったのはサテライトの事業所でしたが、非常に競争が激しい地域である東京都内S区にありました。新規依頼獲得数は月平均わずか1件という状況で、数名の看護師と理学療法士が在籍していたため、赤字経営が続いていました。初めは、24時間オンコールに対応していないこともあり、大手の訪問看護サービスや多数の競合他社が存在する超レッドオーシャン地域であるため、このエリアで成功することは難しいと感じていました。事実、このエリアと隣接エリアを合わせると、約100近い訪問看護ステーションが競合していました。しかし、他の拠点も併せて5拠点を担当していたなかで、唯一負け戦を強いられていた拠点であったため、当時若手営業マンだった私は、その拠点に月の1/3の時間を割り当て、地道なローラー営業を繰り返しました。今振り返ると、その時間を割り当てて行った戦略と行動内容は、これはランチェスター戦略に当てはまるものだったと言えると思います。当時はその戦略を意識していなかったものの、振り返ればその通りのアプローチであり、「選択と集中」をしたという形になっていました。この「選択と集中」の戦略を徹底することで、1年後には月平均5~6件、2年後には単月で最高12件の新規依頼を獲得することに成功しました。この経験から、訪問看護の営業チラシや集客戦略には、明確な目標設定と地道な努力が不可欠であることがわかりました。実際に私が当時どのような「選択と集中」を行ったのか、4つの項目に整理して、お伝えしたいと思います。実行内容①エリア全域にわたる営業ターゲットの拡大と営業活動私たちの訪問看護事業所が、競争の激しいエリアで成功を収めるために採用したアプローチの1つ目は、エリア全域にわたる営業ターゲットの拡大と営業活動でした。この戦略と実行には、様々なタイプの介護施設や医療機関との強固な関係構築を進める狙いがありました。ターゲットを幅広く設定した理由は、私たちが自費によるリハビリテーションサービスも提供していて、様々なニーズに応えることができると考えたためです。実際に営業ターゲットを拡大してアプローチした先としては、居宅支援、包括支援センター、住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、病院、そして訪問診療の各施設でした。先ほど「ランチェスター戦略」や「選択と集中」というワードを使ったため、「絞り込み」を連想された方も多いと思います。しかし、最初から絞り込みをするのは得策ではありません。なぜなら、集客が上手くいっていないということは、そもそもそのエリアでの認知度が低いということが原因となっている可能性が高いためです。特に、立ち上げたばかりのステーションや事業所は注意するべきです。賃貸の物件を探す場合を例にすると、賃貸マンションを探す時に、「〇〇線沿い」、「最寄り駅」、「予算5万円以内」、「2階」、「南向き」、「トイレと風呂は別々」、「オートロック」、「ネット回線有」などの条件を指定して物件情報サイトで検索をすると、最初は1000件と出ていたのに絞り込みをし過ぎた結果、3件みたいな感じになることがあるかと思います。それと同様で、絞り込み過ぎは機会損失になるので注意するべきです。実行内容②ご利用者様の分布分析とそれに応じた訪問エリアの絞り込みエリア全域にわたる営業ターゲットの拡大と営業活動を行った次に、ご利用者の分布分析とそれに応じた訪問エリアの絞り込みを行いました。このタイミングで訪問エリアの絞り込みを行った理由は、エリア全域の幅広い施設や医療機関に対して営業活動を行った結果、エリア内でも特にどの範囲にご利用者様となる高齢者が多く分布しているのか、その情報が集まり分析することが可能になったためです。それらのデータを基にして、分布範囲に応じて、営業する範囲の絞り込みを進めていきました。ここで先ほどの絞り込みを先にしてはいけないという点にも繋がってきます。絞り込むこと自体は容易ですが、正しく効果的な絞り込みをすることは難易度が高く、適切な情報やデータが必要になります。そのためにも、焦って絞り込むのではなく、絞り込む対象を見極めるための情報やデータを収集することを意識しつつ、幅広く営業活動を行うことが重要になります。実行内容③残存ポテンシャルの把握残存ポテンシャルとは、営業に行った居宅介護支援事業所にケアマネージャーさんが何人所属していて、現状お付き合いが有るのか無いのか、何人中何人のケアマネージャーさんが自社をご利用しているかなどです。請求ソフトのワイズマンやスマイル、アイボウなどで、既存の居宅介護支援事業所については把握されているのですが、ケアマネージャーさんの所属人数、どこの他社をご利用されているかなどほぼ把握していないステーションさんがほとんどです。実際にそれらを把握しているステーション、事業所は本当に少ないですが、営業活動を効率的に、効果的に進めていくためにはとても重要な情報となります。そのため、ローラー営業を3巡、4巡としていくなかで、そういった残存ポテンシャル情報を収集していくことを心掛けるべきです。収集した情報を基に絞り込みを行って訪問エリア・商圏を絞り込んでいき、費用対効果、収益性を向上していくことが重要です。実行内容④チラシの内容を濃く、作り込む上記のように順を追ってローラー営業を行い、収集した残存ポテンシャルを基にターゲットを明確にしていきましたが、なかなか新規依頼を獲得することができませんでした。新規依頼0件という月もありました。正直、本当にヘコみました。営業会議があったその日の夜、自分の不甲斐なさに布団の中で泣いてしまいました。そこで、何がいけなかったのか考えました。行きついた結論が、「営業チラシを見直す」ということでした。既存のチラシ内容をゼロから再構成することを意識して、PowerPointやWordで営業チラシを作成して営業時に配布していきました。結果、翌月の依頼数は7件に増加しました。この結果から、営業チラシを見直すだけで訴求力が高まり新規依頼に繋がることがわかりました。その後も、仮説と検証を繰り返して営業チラシを改善し続けることで、冒頭にお話しをしたように1年後には月平均5~6件、2年後には単月で最高12件の新規依頼を獲得することに成功しました。どういった営業チラシを作成すればいいのかと思われた方向けに、全てのノウハウを無料でお教えすることはできないまでも、当ブログで「集客を加速させる営業チラシの極意」というタイトルでヒントとなるノウハウを過去に発信しておりますので、ぜひご興味が湧いた方はご覧ください。まとめ激戦区での集客の実体験をお話してきました。正直、首都圏での訪問看護の立ち上げは厳しいです。高齢化社会だからご利用者をすんなり獲得できると思っているのであれば、それは大間違いです。某フランチャイズ会社が「訪問看護は稼げる」とか「ストックビジネスで安定している」とか謳っていたりしますが、そんなのは一昔前の成長期初期のお話です。その広告宣伝に乗っかってしまったり、マインドを持っての立ち上げはとんでもないことになります。とは言っても、既に立ち上げて集客が上手くいってないステーションさんにお伝えしたい肝心なことは「今すぐに行動(営業)する」ということ。行動すれば、何かしら結果が出ます。良くも悪くも結果が出たらその事実に向き合い改善していく、そして行動。これを繰り返していけば集客は上手くいきます。今日からの行動に落とし込んで下さると幸いです。